第四十二弾 なぜロメロのゾンビはちゃんと怖いのか?


~あるホラー映画好きの独白~

映画ゾンビを観る。
何十回目だろう、いや何百回かもしれない。
息を吸うように、水を飲むように、ゾンビになるように。
観まくっている。

まったく素晴らし過ぎる作品だ。
もはやホラーの枠を飛び出している。
学校の授業で子供たちに観覧させてもいいかもしれない。


え?最近のゾンビ映画?
う~ん、、、頑張っているのもあるけれど。
なんかこうファッションアイテムになっちゃってるんだよね、ゾンビがさぁ。

特に気になるのが出てくるゾンビがちっとも怖くない!
これはダメでしょ。スペックは高くなっているんだけどねぇ。
う~ん、何が違うんだろ?


彼のような気持になっているホラー映画ファン、結構いるのでは?
近年当たり前のようにゾンビ映画が創られ、そこそこヒットしてはいるんだけれど、、、
何かが違う!それホラー的に正しい感情です。

というわけで今回はロメロのゾンビはなぜちゃんと怖いのか?
他の映画のゾンビと一体何が違うのか?ゾンビ以外の面も考慮して検証します。
検証素材はもちろんジョージ・A・ロメロ監督が手掛けた1978年制作の映画、”ゾンビ”


注意!このコラムには一部の方には愉快、一部の方には不快な画像が出てきます。
その点を自分の中で消化出来る方のみご覧ください。

~ゾンビ面~

1.ちゃんと動きが遅い


ロメロゾンビ以降のゾンビはとにかく猛ダッシュしますよね。
まるで高校球児のよう。ここは甲子園じゃない!
正直走ってこられると困るんですよ。なぜって?人間とゾンビのパワーバランスが狂うから。

ゾンビ側に圧倒的に有利になってしまう。
「なんとかかわせるんじゃないか?」
そんな気持すら起こらない。常に諦めムードが漂う。
好きにしろ、、、そんな感じ。怖さよりも諦めが大きくなる、これはダメだ!



“のんびり殺す”

2.ちゃんと動きが自然


最近のゾンビって動きが不自然じゃないですか?
やたら大げさというか。いかにも演技してるって感じ。
もっと自然体で!って言いたくなります。ゾンビに自然体というのも変な話だけど。

対してロメロゾンビは見ていて実に自然な動き。
もしゾンビが実在したらこんな感じなんだろうなって思わせてくれる。
リアルへの寄せ方がちょうどいいんですよ。



“自然に超怖え!”

3.ちゃんと生活感がある


「着ている服を見るとどんな人間(ゾンビ)かわかる」
生活感が溢れているんですよね、ロメロゾンビがお召しになられている服は。
作品の年代が1970年代後半なんで今見るとありえね~って人もいますけど。

中には上半身裸な奴もいたりして。印象的なゾンビもいくつか取り揃えております。
あなたはどのゾンビがお気に入りですか?



“最も尖ったファッションコーデゾンビ。さらにタンバリンでアクセント!”

4.ちゃんと顔色が悪い

特殊メイクアップの技術が進んで最近のゾンビ顔も実にリアルに。
その事自体はいいのだけれど、、、なんだか味みたいなものが失せてしまったような。
手作り感が感じられないのが原因かも。
やっぱり手作りのおにぎりの方がコンビニのおにぎりよりも美味しいもんね。

映画ゾンビではトム・サビーニが特殊メイクを担当。彼は実にいい仕事をしました。
手作りで膨大な数のゾンビをしっかり創り上げる。
役者としてもキャラの立った悪党を演じていたりして。どんだけ作品に貢献してるんだ。
映画ゾンビ、またの名をトム・ゾンビ。もう言い切っちゃいますよ。


“”
トム・ゾンビ「ロブ・ゾンビには負けねえ!」

~環境面~

・TV局

“環境や場面で緊迫感を出す=ゾンビが出てこないのに怖い!”
この公式をちゃんと実践しているのが冒頭のTV局内のシーン。
別にゾンビがなだれ込んでくるわけでもないのに緊迫感が凄い。
現場が混乱の極み。見せ方も非常に上手いんですよね。

TV局を掴みに持ってきたのがもう素晴らしい!
情報が集まるTV局なので言葉だけでちゃんとホラーが出来る、緊迫感が出せる。
1体もゾンビが出てこないというのに!


ゾンビというのはゾンビ映画にとってのカンフル剤。過剰に使用すると怖くなくなるんですよ。
さすがキング・オブ・ホラーと呼ばれる女児、じゃないジョージ・A・ロメロ。
ちゃんとわかっている、ものが違うぜ!



“なんやかんやでてんやわんやします”

・高層アパート

悪党どもが立てこもるスラム街の高層アパート。
中にSWATが突入するのですが、、、このシーンも緊迫感あり過ぎ!
突入時の銃撃戦のシビアさ(誰が死ぬかわからない)もシアーハートアタック!
(心臓がドキドキするって事)

アパートに突入したらしたで閉塞感もハンパなく増す。
なぜか?それはこのアパートが超細長い構造をしているから。
狭い土地に多くの人間を住まわせる劣悪な環境。
これが非常に緊迫感を出す要素になっております。

ゾンビともみ合いなんて当たり前。ゾンビと出合い頭!怖すぎる!
しかも地下室には、、、いらなくなったゾンビがてんこ盛り!
見ている自分もアパートの住人になったような気がして息苦しい程、、、これってもはやVR?



“ゾンビと押し合いへし合い”



“家賃未払い住人の頭を吹っ飛ばしてやったぜ!(アパート管理人)”

・ショッピングモール


主人公の”男女4人夏物語”とは言い難い、だけどカッコいい4人。
彼らはヘリで都市を脱出中、ショッピングモールを発見。
早速降り立ち占拠を開始するわけなんですが、、、

このショッピングモールが作品のメイン舞台になります。
モールだけに”画”的にも明るい感じでゾンビとの立ち回りも多い。
冒頭で陰鬱な感じを出していたのでここでバランスを取ったのでしょう。


ですが、、、徐々に虚無感が漂いだします。
物欲に支配される男たち、そのせいで命の危険にさらされるというのに。
しかも仲間の一人であるSWAT隊員のロジャーがゾンビに噛まれる!(ていうか肉(一部)喰われた)

じわじわとおかしくなっていくロジャー。この描写の怖さ、切なさはかなりのもの。
そして完全にゾンビ化したロジャーの顔!
怖い顔じゃないんです、むしろ奇妙な顔。でもそれが怖い!



“もはや顔芸です”


ロジャー亡き後、物には不自由しないけど心に不自由を抱えて生きる3人。
もちろんショッピングモールでその生涯を終えたわけではありません。
暴徒と化した暴走族どもがモールに突撃してきます。

迎え撃つピーター&ゾンビ!(あとヘリ坊や)
このシーンのはっちゃけぶりも素晴らしい。
怖かったゾンビが身内になった錯覚も。ゾンビ頑張れ!暴走族を殺れ!


あと特筆すべきはピーターの戦闘能力の高さ。
「やっぱりSWATって凄えんだな!」思う事請け合い。

残酷シーンもてんこ盛り。
ホラーファンにとっては悪夢(素敵な)のような気持になります。
手に汗握るとはこういうことだ!(そんな自分が怖い!)



“全盛期のチームゾンビ。カッコよすぎ!”

~設定面~

・宇宙からの怪光線

宇宙から謎の怪光線が地球に降り注ぎ、死人が蘇った、、、
この設定だけで怖いしワクワクしてきますよね。
原因不明なところもナイス!謎だから怖いんですよ。

日本のみのボーナストラック?として”惑星イオスが爆発したために死者が甦った”
なんて素敵な設定も(テレビ東京放映版)
ただし内容的には残酷シーンカットしまくりのハッピーエンド?版になっております。
「まかしときぃ!」(無理!)



“ワレワレノイオスガ!”


いかがでしたか?
ジョージ・A・ロメロの”ゾンビ”実にちゃんと創られております。
ゾンビ自体もそうだし、作品としてもそう。

舞台、演出、役者の演技、、、全てにおいてゾンビが怖くなるよう施されている。
映画史にちゃんと名を刻む作品だけの事はある。

“ゾンビがちゃんと怖くなければ
(ゾンビ)映画として成り立たない”


当たり前の事を映画ゾンビは我々に教えてくれます。
どうですかゾンビクリエイターの皆さん!
ゾンビは消費財じゃない!流行りのガジェットでもない!
ゾンビはちゃんと生きているんです!(死んでるけど)

この事を頭に入れつつちゃんと怖いゾンビ映画を創って欲しい。
それが我々ゾンビフリークの願いなのだから。
ロメロフォエバー!ゾンビフォエバー!それではまた!

『ゾンビ』製作35周年記念究極版ブルーレイBOX [Blu-ray]

新品価格
¥11,682から
(2019/8/29 09:35時点)


2019-09-18 | Posted in ザ・検証No Comments » 

関連記事

Comment





Comment



CAPTCHA